円形脱毛症とは|ストレスのせい?突然の丸い脱毛について

円形脱毛症とは|ストレスのせい?突然の丸い脱毛について

円形脱毛症はある日突然髪が抜けてしまうことから、発見時にびっくりされることが多い症状です。
ストレスで発症するイメージを持たれがちですが、実際は免疫細胞が正常な細胞や組織を攻撃する、自己免疫反応によって引き起こされると考えられています。
症状の悪化を防ぐには早めに対策を講じることが大切です。
このページでは円形脱毛症の症状や原因、治し方などを解説していきます。

円形脱毛症とは

円形脱毛症とは、髪をつくる器官が免疫細胞に誤って攻撃されることで、円形や楕円形に髪が抜けてしまう症状のことです。
発症するとその部分の髪は全て抜け落ち、頭皮が部分的に露出してしまいます。
頭部全体の髪がまばらに抜けるびまん性脱毛症とは異なり、脱毛部分の境界がはっきりしていることが特徴です。
患者さんの約8割が30歳以下で、特に15歳以下は全体の2.5割と、若い世代に多くみられます。

初期症状

円形脱毛症になると次のような症状が現れます。

症状のチェックリスト

  • 円形や楕円形に髪が抜ける
  • 脱毛部分の周りの髪を引っ張ると簡単に抜ける
  • 爪がでこぼこになる
  • 毛根の形が細くとがっている

円形脱毛症は髪が一気に抜ける症状で痛みも伴わないため、誰かに指摘されるまで気づかない場合もあります。

牽引試験

円形脱毛症は、牽引試験という方法で症状を確かめることができます。
牽引試験は髪をまとめて引っ張り、どれくらい抜けたかを数える検査です。
脱毛部分の周りの髪を優しく引っ張り、簡単に抜けてしまうようであれば、症状が急速に進行していると考えられます。
症状が悪化するほど治るまでの時間もかかってしまうので、頭皮や髪に少しでも異変を感じたら早めに治療するようにしましょう。

5つの脱毛タイプ

円形脱毛症の5つのタイプ

円形脱毛症は、単発型、多発型、蛇行型、全頭型、汎発(はんぱつ)型などの脱毛タイプに分けられます。
どこか1カ所で脱毛するケースが多いですが、タイプによっては頭部全体の髪が抜け落ちてしまう場合もあります。
それでは1つずつ症状を確認していきましょう。

単発型

単発型円形脱毛症は頭部の1カ所のみで発症する、円形や楕円形の脱毛のことです。
「10円ハゲ」などと呼ばれることもあります。
5つの脱毛タイプの中では最も軽い症状で、他のタイプもこの単発型から移行するケースが多いです。

多発型

多発型円形脱毛症は、頭部の複数カ所に円形や楕円形の脱毛がみられる症状のことです。
複数の脱毛部分がつながり、次々と範囲が広がっていく場合もあります。
多発型は単発型よりも再発しやすいので、治療に時間がかかるケースが多いです。

蛇行型

蛇行型円形脱毛症は、前頭部から後頭部の生え際の髪が、まとまって抜ける症状のことです。
多発型がつながり帯状になった形で、円形脱毛症の中ではまれな種類といわれています。

全頭型

全頭型円形脱毛症は多発型の脱毛部分がつながって、頭部全体の髪が抜け落ちてしまう症状のことです。
薄いまだら状になる方もいれば、スキンヘッドになる方もいます。
円形脱毛症がかなり進行した状態なので、数年かけてコツコツ治療していく必要があります。

汎発(はんぱつ)型

汎発型円形脱毛症とは、髪だけでなく眉毛やまつ毛、ひげ、脇毛など、全身の毛が抜けてしまう症状のことです。
円形脱毛症の中で最も重い症状といわれています。
効果的な治療法が見つかっていないため、完治するまではウィッグやアートメイクを活用するのがおすすめです。

自然に治る?症状の進行について

円形脱毛症の進行について

円形脱毛症は単発型であれば約1年で自然に治ります
脱毛範囲が広がる確率は約2割で、発症したからといって必ず進行するわけではありません。
しかし症状に進行がみられる場合は治療しても治りにくく、治っても再発してしまうことが多いです。

FAGAとの違い

女性の代表的な脱毛症であるFAGA(女性男性型脱毛症)と円形脱毛症の違いは次の通りです。

円形脱毛症 FAGA
症状 円形や楕円形に抜ける まばらに抜ける
主な原因 自己免疫疾患 加齢やストレス
進行 一時的 進行していく
年齢 若い世代に多い 40代以降が多い
性別 関係ない 女性のみ

FAGAは加齢やストレス、遺伝などによって、髪全体のボリュームが減少してしまう症状です。
詳しい症状や原因についてはFAGAとは|まばらに抜ける女性の薄毛症状をご確認ください。    

円形脱毛症の原因

円形脱毛症の明確な原因は分かっていませんが、自己免疫疾患が深く関わっていると考えられています。
ここでは自己免疫疾患とあわせて、その他の要因もご紹介します。

円形脱毛症の要因として考えられるもの

  • 自己免疫疾患
  • アトピー性疾患
  • 遺伝
  • 出産
  • 強いストレス

自己免疫疾患

自己免疫疾患の仕組み

自己免疫疾患とは体の異物を排除する免疫細胞が、正常な細胞や組織まで異物とみなして攻撃してしまう病気のことです。
円形脱毛症は、髪をつくる毛包が免疫細胞に攻撃されることで発症すると考えられています。
自己免疫反応がなぜ生じるのか具体的な理由は明らかにされていませんが、体内のタンパク質の変質や免疫機能の障害などが関わっているようです。

アトピー性疾患

医学的な根拠はありませんが、アトピー性皮膚炎やアトピー型喘息、アレルギー性鼻炎などのアトピー性疾患になりやすい体質の方は、円形脱毛症を発症しやすいといわれています。
実際に円形脱毛症の患者さんの約4割にアトピー性疾患が認められていて、さらに半数以上は本人か家族がアトピー性の疾患を持っていることが明らかになっています。

遺伝

遺伝的な傾向も円形脱毛症の要因の1つです。
血縁の関係が近くなるほど発症する可能性は高くなり、一卵性双生児ではその確率が約5割にまで及ぶとされています。
円形脱毛症になった家族がいて、自分も症状が気になる場合は、一人で悩まずに皮膚科に相談してみましょう。

出産

赤ちゃんと母親

多くの女性は出産後に女性ホルモンの分泌量が急減する影響で、分娩後脱毛症を発症します。
アトピー性疾患を持っている方などは、これが円形脱毛症の症状となって現れる場合があります。
分娩後脱毛症の特徴や予防策については、分娩後脱毛症とは|産後2〜3カ月で始まる女性の抜け毛についてで詳しく解説しているのでぜひご確認ください。

強いストレス

強いストレスはホルモンバランスや自律神経を乱し、体の不調を引き起こしますが、髪も例外ではありません。
血行不良により髪をつくる毛包へ栄養が届きにくくなるほか、自己免疫疾患を誘因する可能性もあります。
ただしストレスがなくても発症する方は多くいるので、円形脱毛症との直接的な関係は認められていません。
なお過度のストレスと薄毛の症状が重なる場合は、抜毛症の可能性もあります。

抜毛症

抜毛症とは不安や緊張などを和らげるために、自分の髪を自ら抜いてしまう精神疾患のことです。
無意識のうちに髪を抜いてしまうケースが多いので、子供が発症した場合は特に円形脱毛症と見分けにくい場合があります。
脱毛部分を確認して引きちぎられたような痕跡があれば、抜毛症の可能性も考慮した方がよいでしょう。

円形脱毛症の治療方法

円形脱毛症は内服薬や外用薬を使って治す方法が一般的です。
血行を改善して髪に栄養を届けるカルプロニウム塩化物や頭皮の炎症を抑えるステロイド薬などが処方されます。

内服薬

  • グリチルリチン
  • セファランチン
  • ステロイド内服薬
  • 抗ヒスタミン薬 など
外用薬

  • カルプロニウム塩化物
  • ステロイド外用薬 など

ステロイド薬は、脱毛部分に直接注射で注入する方法もあります。
代謝の影響を受けないのでより効果的に成分を届けられますが、感染症などの副作用のリスクも高まります。

投薬治療で治らないとき

投薬治療を続けても治らない場合や、脱毛範囲が広い場合は、光線療法や雪状炭酸圧抵療法、局所免疫療法などを取り入れるケースがあります。
それぞれ高い効果が期待できますが、治療によってはやめると再び脱毛してしまうものもあるため、症状をみながら医師としっかり相談することが大切です。

光線療法 雪状炭酸圧抵療法 局所免疫療法
施術内容 紫外線や赤外線を照射 ドライアイスで脱毛部分を冷却 わざと皮膚炎を起こす
効果 免疫機能の抑制 免疫機能の抑制 免疫機能の抑制
種類 エキシマライト、
ナローバンドUVB など
同上 SADBE、DPCP
など
保険適応 あり なし なし

円形脱毛症の注意点

円形脱毛症を発症した方は、橋本病などの甲状腺疾患や膠原(こうげん)病、尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)などを併発する可能性があるので注意が必要です。
特に甲状腺疾患は20代〜50代の女性に多い病気で、発症すると全身にさまざまな不調が現れます。
初診の場合はこれらの疾患がないか、血液検査でチェックするのがおすすめです。
髪とあわせて体やお肌にも違和感を感じたら、放置しないでそれぞれの診療科を受診するようにしましょう。

円形脱毛症をカバーするならアートメイク

アートメイクとは皮膚のごく浅い層に針で色素を注入する施術のことです。
頭皮アートメイクやヘアアートメイクを施せば、髪が生えてくるまでの間、脱毛部分を自然にカバーできます。
お手入れ不要ですぐに効果を実感できるのが大きな魅力です。

当院ではスカルプエアーメディカルSMPヘアラインアートメイクを取り扱っています。
各メニューの仕上がりや持続期間、料金などは薄毛カバーの新時代|頭皮アートメイクとヘアアートメイクについてで詳しく解説しているのでぜひご確認ください。

当院の症例

SMPの症例

頭皮アートメイクの1つである、SMPの症例をご紹介します。
SMPは、頭皮に無数のドットを描いて髪の密度を再現する施術です。
ふんわりとした自然な仕上がりが特徴で、2年程度効果が持続します。
髪が生えてくるまでの一時的なカバーにおすすめです。
SMPのメリットやデメリットはこちらで解説しているので、ぜひご確認ください。

まとめ

円形脱毛症についてここまでの内容を振り返ると、次のポイントが大切です。

  • 円形脱毛症は円形や楕円形に髪が抜けて頭皮が露出する症状
  • 自己免疫疾患が関係している
  • 症状の軽い単発型であれば約1年で自然に治る
  • 内服薬や外用薬で治療できる
  • 甲状腺疾患など他の病気を併発している可能性もある
  • 治るまでの期間はアートメイクでカバーできる

突然の脱毛にショックを受ける方も多いですが、軽症であれば約1年で自然に治ります。
そのためあまり気にしすぎないことが大切ですが、美しいヘアスタイルを維持したい方は、ぜひアートメイクもご検討ください。

よくある質問

円形脱毛症に効く市販薬やサプリメントはありますか?

円形脱毛症に有効な治療薬は市販で購入できません
そのため医療機関を受診して医師の処方を受ける必要があります。
ただし薄毛に効くサプリメントなどを活用することで、頭皮や髪の健康状態をサポートすることはできます。

円形脱毛症は保険が適応されますか?

ステロイド薬など、投薬治療で使われる薬の多くは保険が適応されますが、一部適応外のものもあります。
施術後のトラブルを避けるためにも、心配な方は事前にクリニックに確認するようにしましょう。

アートメイクは発毛に影響しませんか?

頭皮アートメイクやヘアアートメイクは、頭皮の最も浅い層に色素を注入する施術です。
髪の成長に関わる組織はさらに深い層にあり、施術部分からも離れているため、発毛に影響することはありません

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